フジコーポレーション株式会社

材木商の知恵袋

木の家を造る上で重要な事って何?

「乾燥材」(機械乾燥)と言われている物です。

では、乾燥材とはなんでしょう?ひとくちに言えば、含水率(木の中に含まれる水分)が、20%以下の木材を言います。木材は、水分を吐き出す量が増えるにつれて、強度が増し、寸法の変化(曲り・反り・割れ)のリスクも少なくなります。
この寸法の変化を抑える事は、木材を使用する上での重要点となります。なぜなら、木材寸法が変化する事で、壁の隙間やヒビ割れなどが出やすくなるためです。ですから弊社では、強度もあり、寸法の変化を安定させやすい、含水率20%以下の乾燥材を採用しています。しかし、世間を見渡すと「天然乾燥」(自然乾燥)という商品も存在します。「天然乾燥材」は、屋外で太陽にあてて乾燥するため、品質が安定しておらず、その大半の含水率が30~40%と高めで、「乾燥材」のカテゴリーには入りません。「未乾燥材」の扱いとなります。当然、寸法の変化・強度のバラツキがでてきます。また、「天然乾燥材」の多くの製品が、「新月伐採の葉枯らし乾燥」を売りにしています。
「新月伐採」とは、樹木を冬期の新月直前に、伐倒して谷側に倒し、比較的長期間、林地で寝かし乾燥する方法です。この方法自体には問題はありませんが、「新月伐採法」が注目されるきっかけとなった、ある本の宣言文句によって、新月伐採によって生産された木材は「腐らない・暴れない・狂いがない・火が燃えつかない」という考えが浸透してしまいました。しかし、この本には全く科学的データが示されていませんでしたので、ある大学がそれらを検証したところ、言われているような性能は全く確認できないという結果となりました。では何故、性能の安定しない「天然乾燥材」を使うのか?その点が気になりますよね。その答えの一つとして、まず考えられる事は、「価格」ではないでしょうか?
そして次には、商品のイメージ戦略が少なからずあるように思われます。前述したように、「天然乾燥材」を使うという事は、水分が多く含まれた材料な為、曲ったり・反ったり・割れたりする現象がつきまといます。寸法が不安定なわけです。ですから、曲った扱いづらい材料を加工するのに、職人さんの手加工が必要となってきます。(寸法が不安定な材料はミリ単位で加工する機械加工には不向きなため)そこで「手加工」と言う良いイメージが、戦略として「天然乾燥材」と結びつくのではないでしょうか?これは一例ですので、全てがこうではありませんが、このような戦略も少なからずあるかもしれません。